“SEMISSION” Archives 1_Takeru Arai Works

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先月、7月14日から17日、MESの主催イベントとして実に1年ぶりとなる”SEMISSION”のアーカイブを公開

(横スクロールすると解説順に作品がご覧になれます。)

4日間の全日程のうち、メインとなったのは、MESのアーティストとして活動する新井健(Takeru Arai)の作品群。エレベーターが開くと、一面グリーンに統一されたPCファンの作品「Through the Bamboo Grove」が天井から大きく下がっている。ANAGRAのドアをくぐると、今回新しく制作した人形型の立体作品「COVER ME」シリーズがならぶ。このシリーズは、一体一体が現実にあるテロ対策用防護服から着想を得て制作された。宇宙服や「ゴレンジャー」などに見られる「戦隊モノ」との関連も現れているが、その具象的な表現以上に、これまで新井が過去に制作してきた等身大コンドーム作品など、過去の作品に通じて、人工的な物質を纏うこと=仮のサーフェイスについて、あるいは世界から人間を守り、世界と人間を断絶する、世界と人間の間についての考察が、際立ったモチーフを通して行われている。

PCファンによって構成された7つの同じモチーフが長いコードによって繋がれ、稼働する作品「射撃で用いる標的の人形は地中で繋がっている(A doll used in target shooting in the ground)」や、ひし形の平面とテトラポット型の立体作品とレーザー光による「海景/海中 (The seascape / into the sea)」など、入り口の「Through the Bamboo Grove」を含む一連のPCファンの作品は、4年前に制作した一つの超立方体の巨大作品を、新井の記憶に焼き付いている景色をベースに、今回の展示のため個々の作品として形態だけでなくコンセプトやモチーフから再構成した。

壁面や床面に一見無造作に張り巡らされている直線によるドローイングは、ライブ・ドローイングならぬ〈ライブ・テーピング〉と私たちが呼称している、近頃生み出した手法であり、クラブの演出でも多用している。サイトスペシフィックに建物を緊縛していくような行為であると同時に、その日にコラボレーションするサウンド・アーティストの音楽に反応し、表現や時間に対しても特化したパフォーマンス作品である。

素材や個々の作品背景に関わらず全ての作品は、自然光(蛍光灯)とブラックライトの両方に反応するように作られている。展示全体を通じて、日頃の演出活動からの反響を、深海域のように、ひっそりと、しかし確実に一つ一つが鮮やかに息づく記憶として形に留めるような展覧会場となった。